研究課題/領域番号 |
11470249
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
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研究分担者 |
山根 義久 東京農工大学, 農学部, 教授 (50262225)
山崎 一也 横浜市立大学, 医学部, 助手
市川 由起夫 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70305473)
永井 裕 高研バイオサイエンス研究所, 学術担当顧問, 研究職
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 人工血管 / コラーゲン / 細胞成長因子 / 疎水結合 / 内皮細胞 / 内膜 / 内因性サイトカイン / 血管誘導因子徐放出 |
研究概要 |
人工血管にはサイトカインや細胞成長因子を吸着したり、それを徐放出する機能がない。そこで本研究では人工血管にその機能を賦与する研究を行った。海外の研究では、合成高分子材料製の人工血管にその様な因子を固定化してヒトに植え込むと良い結果が得られるといった希望的観測のもとに多くの特許が申請されている。我々はその追試を行ったが、全く予期した成果は得られなかった。そこでその問題点を検討した結果、その基本的な欠点を我々は見いだした。それはその様な因子を固定化した場合には、その人工血管を滅菌するときに諸因子の効果が半減もしくは壊滅的な影響をうけるため、いかに高濃度の因子を固定しても効果が出ないことであった。そこで我々は手術中に患者自身の細胞が産生するそれらの因子を人工血管が自然に吸着するほうが自然であり、滅菌プロセスを回避することが可能となることから、効果的であることを思いついたので、昨年度の報告でそのことを記載した。本研究で本年は最終年となることから、いかに効率よく諸因子を吸着させることが可能化についての検討を行った。ここで我々が諸因子を吸着させるのに、コラーゲンもしくはゼラチンを使用する方針を採用した。しかしこの研究で判明したことは、コラーゲンをそのまま使用しても吸着効率が悪いことであった。そこでどのようにするとその効率を上げることができるかを検討した結果、それらの諸因子のうちで、創傷治癒に最も関与する血管誘導因子が疎水性物質に吸着されやすいことを見いだした。そこで我々はコラーゲン分子に疎水性のミリスチレンを結合させることで因子の吸着効率を2倍に高める事に成功した。そこで本研究は次の段階として、それを用いた動物実験に移行した。我々は疎水基を持たせたコラーゲンを人工血管に塗布して犬への植え込みを行ったところ、そのコラーゲンに植え込み後3日目には多量の血管誘導因子が吸着していることが判明した。さらに1週間後には周囲から無数の交際血管が侵入し始め、2週間後には内皮細胞が人工血管壁内へ多量に入り込むことがわかった。そして4週間目には人工血管の内面がそれらの内皮細胞によって覆われた。この実験の結果、我々の目的とした内因性サイトカイン吸脱着型の人工血管の開発が可能であることが示された。
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