研究課題/領域番号 |
11470251
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)田附興風会 |
研究代表者 |
高林 有道 財団法人 田附興風会, 医学研究所・第2研究部, 研究主幹 (00226911)
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研究分担者 |
中村 肇 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70303914)
河合 泰博 財団法人 田附興風会, 医学研究所・第2研究部, 研究員 (20311285)
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キーワード | Surgical Stress / ミトコンドリア膜電位 / 末梢血リンパ球 / NK細胞 / ノルアドレナリン / NO / ADF / アポトーシス |
研究概要 |
我々は、これまでSurgica1 stressをさまざまな角度から評価してきたが、今回はSurgical stressが腫瘍に与える影響を免疫学的な視点から評価することを目的とした。 1、末梢血リンパ球のミトコンドリア膜電位(MMP)を測定することで、Surgical stressが生体にあたえる影響を評価した。 (1)食道亜全摘術や肝切除術をうけた患者の術後1日目で末梢血のリンパ球のMMPが低下しており、3日目に回復していることが判明した。 (2)CD56陽性のNK細胞が特にMMPの低下をきたすことが判明した。臨牀データでは血清ノルアドレナリンの濃度がMMPの低下と相関しており、アドレナリンや、コルチゾールとは相関しないことが明らかとなった。 (3)ノルアドレナリン投与で、分離した末梢血リンパ球のMMPが低下し、βブロッカーでその効果が抑制されることが確認された。またNK活性とMMPとが相関することが確かめられた。 2、NOが末梢血リンパ球のMMPを低下させ、アポトーシスを誘導することが確認され、CD56陽性細胞すなわちNK細胞がNOに影響されやすいことが確認された。この効果はNO消去剤にて抑制され、また、ビタミンEアナログである、troloxにても部分的に抑制されることが確認された。 3、術後の血清ADF濃度とMMPの低下とが逆相関し、術後の感染症発生などでも逆相関することが判明した。 以上より、NK活性のMMPが術後著明に低下し、同時にNK活性の低下を反映していることが、示唆された。また、感染などで産生されるNOもMMPの低下に影響を与えることが確認された。今後はこれらの因子が癌細胞に与える影響を検討していく予定である。
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