研究概要 |
1)膵癌組織においてチオレドキシンの発現が増強していること、膵癌患者において血漿中チオレドキシン高値を示す症例を認めることを明らかにした。さらに、CDDP耐性Hela細胞においてチオレドキシンの発現が増強していることも明らかにした。(Nakamura,et al.Cancer Detect Prev.2000;24(1):53-60) 2)マウスにおいて血漿中チオレドキシンの増加が、LPSによるchemotaxisを抑制することを見出した。(Nakamura,et al.Proc Natl Acad Sci USA.2001 Feb 27;98(5):2688-2693) 3)チオレドキシンとp53のDNA結合活性との間に密接な関係があることを明らかにしてきたが、乳癌組織においてもチオレドキシンが、mutant p53とともに強発現していることを明らかにした。さらにCDDPによるDNA障害にチオレドキシンの核移行が認められ、p53とともにDNA修復にチオレドキシンの関与している可能性を見出した。(Ueno,et al.Immunol Lett.2000 Dec1;75(1):15-20) 4)ヒトの肝臓切除術後や食道切除術後などの侵襲の過大な術後に、末梢血リンパ球とくにNK細胞のミトコンドリア膜電位が低下していることをあきらかにした。さらに、この膜電位低下は血清中ノルアドレナリン濃度と相関しており、末梢血より分離したNK細胞は、ノルアドレナリンにてアポトーシスを誘導されることを見出した。 5)ヒト末梢血のリンパ球とくにNK細胞がNO供与体によって、濃度依存性にミトコンドリア膜電位を低下させ、アポトーシスとなり、ビタミンEアナログにてこのNOの効果が抑制されることを明らかにした。(Takabayashi,et al.Antioxid Redox Signal.2000 Winter;2(4):673-80) 6)進行胃癌患者のDPD活性の低下と5-Fuの効果に相関が認められた。(Takabayashi,et al.Int J Oncol.2000 Nov;17(5):889-95) 7)手術前、血清チオレドシン正常値を示した患者の術後のチオレドシン値が増加し、末梢血リンパ球のミトコンドリア膜電位の低下と相関していることを明らかにした。
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