遅延型異種拒絶反応の作用機序を明らかにすることを本研究の目的とした。Mouse-to-Ratの系で、Ono & Lindsay法に準じて、心移植を施行した。Mouseは6-8週齢のBALB/cとCH3/Heであり、Ratは8-14日齢Lewisを使用した。 実験系はXenograft(Mouse to rat)、Allograft(BALB/c to CH3/He)、Isograft(Rat to Rat CH3/He to CH3/He)の3系統で、おのおの5手術日に犠牲死せしめ、グラフトよりRNAを抽出し、Affymetrix mouse 11KもしくはratU74A arraysを用い、遺伝子発現のプロファイルを検討した。 Xenograft丘系では、7.0±0.7手術日、Allograft系では8.0±0.6手術日に拒絶反応は観察された。一方で、Isograft系では100日以上、心機能は維持された。Isograftに比し、Xenograftで発現強度が強かったものは、Affymetrix mouse11Kによる分析ではINFγ誘導型遺伝子、MRP-8、MRP-14、MACが、Affymetrix ratU74Aによる分析では、Cardionatrin、ANFなどであった。 これらの遺伝子は遅延型異種拒絶反応における関連遺伝子と考えられ、遅延型異種拒絶反応治療において重要な役割をはたす可能性が示唆された。
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