研究分担者 |
鈴木 哲也 山梨大学, 医学部, 助手 (30324198)
板倉 淳 山梨大学, 医学部, 助手 (10252032)
藤井 秀樹 山梨大学, 医学部, 助教授 (30181316)
池田 靖洋 福岡大学, 医学部, 教授 (40038758)
須田 耕一 順天堂大学, 医学部, 教授 (80090596)
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研究概要 |
先天性胆道拡張症(拡張症),膵・胆管合流異常(合流異常),先天性肝内部胆管狭窄および膵癒合不全は,いずれも発生初期(胎生3週末〜10週頃まで)の肝膵・胆道および膵臓の発生過程に生じた形成異常で,急性膵炎,胆管結石形成および胆道癌発生の極めて確率の高い危険状態であることを過去3年間に分子生物学的方法による研究で明らかにしてきた。またこれら4つの形成異常が互いに重複して併存することを解明し,その診断基準を作定し,これらの診断に極めて有力な根拠を示すことができた。以上の知見を統合し,拡張症,合流異常,肝内部胆管狭窄および膵癒合不全による肝・胆・膵疾患の臨床的体系化が出来た。そこで本年度はこの体系化に基づいて,研究分担者各自の知見に加え,この分野の研究に優れた業績をあげている研究協力者の協力で,分子生物学的研究のうち,oncogeneの分野のK-ras, p53の成績を加え,1冊の冊子として上梓した。すなわち,合流異常と胆嚢癌については既に幾多の報告があり、研究代表者らの成績と一致するものであるが,胆管癌および肝内結石との関係で論じられていた肝内胆管癌においても,合流異常の関与を明確に示すことができた。しかし,胆管癌については,分子生物学的方法での検討において,対象材料である胆管上皮が常に大部分脱落しており,切除標本からの採取では十分検討できないことが判り,今後の更なる研究を要するものと思われた。しかし拡張症を伴なわない合流異常単独症例でも,胆管粘膜上皮の遺伝子異常が証明されており,これが胆管癌発癌の高危険群として設定可能か否か今後の検討課題である。
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