研究課題/領域番号 |
11470258
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江川 裕人 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40293865)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20115877)
木内 哲也 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40303820)
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キーワード | 生体肝移植 / 免疫抑制 / 免疫寛容 / RT-PCR / サイトカイン / アポトーシス |
研究概要 |
当施設では、様々な理由により、生体肝移植後に免疫抑制剤を完全に離脱した症例が相当数存在する。これら症例の免疫寛容の機構を解明するため、リンパ球混合反応試験(MLR)による対ドナーへの反応性、real-time RT-PCRによる肝組織内サイトカインの定量を試みた。 結果:24例(38.7%)が完全離脱となり、良好な肝機能を維持し生存中である(計画的離脱6例、非計画的離脱18例)。移植時平均年齢3.6才、平均離脱期間28.2ヶ月であった。非計画的離脱症例の中止の理由は大半が重症感染症であった。離脱後25%に、平均期間12.4ヶ月で、減量・離脱後拒絶反応が出現し、免疫抑制療法を再開した。MLRにおいては、完全離脱症例のドナーへの反応性を3rd partyに対する比で術前の症例(n=13)と比較したところ、有意にドナーに対する反応性が低下していた。さらに、培養上清中のサイトカイン(INF-γ、IL-10)を測定したところ、離脱症例において対ドナー培養上清中のINF-γは対3rd partyのそれに比し有意に低値であり、IL-10に有意差は認めなかった。つまり、TH1サイトカインのdown regulationが、ドナーに対するリンパ球増殖活性低下の原因である可能性が示唆された。肝組織内のサイトカインgeneの発現に関しては、TH1、TH2ともに対照(ドナー開腹時の生検組織)と比較して有意差を認めなかった。その他のサイトカインについても同様であった。 まとめ:離脱症例においては、対ドナー特異的低反応となっており、肝組織内のサイトカインは末移植の正常肝と同様のパターンを示していた。今後症例を集積することにより、免疫寛容導入のためのさらなる糸口が解明されることが期待される。
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