研究課題/領域番号 |
11470258
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 講師 (40293865)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部, 教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
木内 哲也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303820)
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キーワード | 生体肝移植 / 免疫寛容 / 免疫染色 / サイトカイン / リンパ球混合試験 / 非特異的免疫寛容 / アポトーシス / Fas-Fasリガンド |
研究概要 |
当施設では様々な理由により、生体肝移植後に免疫抑制剤を完全に離脱した症例が相当数存在する。これらの症例の免疫寛容の機構を解明するため、平成11年度は末梢血リンパ球混合試験によって対ドナーへの反応性低下を証明した。さらに、リンパ球混合試験培養上清中のサイトカインを定量し、Th1系サイトカインが低値となることを明らかとし、リンパ球サイトカインの寛容への関与が示唆された。今年度は、肝内の免疫寛容のメカニズムをアポトーシスに焦点をあてて検討するとともに、寛容状態にある患者の血清中の免疫抑制成分の存在の可能性を検討した。 結果:組織学的には、Fasリガンド陽性のリンパ球様細胞が、寛容状態にある患者の門脈領域にわずかながら認められた。そこで、肝臓側でFasリガンドを発現することが、拒絶に対して迎撃する形でFas陽性のリンパ球を排除するという仮説に則りこの細胞の正体を現在検討中である。 また、血清が得られた20症例で血清中の免疫抑制成分の検討をおこなった。第3者どうしの末梢血リンパ球混合試験の培養液にに寛容状態にある症例の血清を添加したところ、20例中16例で、その反応が抑制された。現在その成分の分離同定をこころみているところである。 まとめ:肝内におけるアポトーシスが寛容のメカニズムに関与している可能性が示唆された。また、従来臓器移植後の寛容はドナー特異的免疫抑制と考えられていたが、症例の8割に非特異的免疫抑制成分が存在することが示唆された。
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