1.半導体レーザー光による治療実験:ヒト胃癌細胞MK45をヌードマウスの皮下、肝被膜下、腎被膜下、腹膜下に移植した。腹膜下、腎皮膜下等の腫瘍は1週間後には肉眼的に容易に認識でき、照射により増殖を抑制することが可能であった。一方、皮下の腫瘍の場合には2週間以上経過しないと、肉眼的にその存在部位は確認しがたかった。また、chA7-ME2906複合体を投与した後、半導体レーザー光照射したが、皮膚に潰瘍を形成しない程度の出力では、腫瘍を完全にコントロールできなかった。従って本法は、漿膜下や粘膜下の病変に対しては有効な可能性があるが、皮下の病変の治療には応用が難しい。 2.腹膜播種癌細胞の術中診断に応用するために、ヒト胃癌細胞MKN45を腹腔内に2×10個散布し1週間後に腹膜に生着した癌細胞を検出できるか検討した。半導体レーザー光照射の感度は良好であったが、検出できる範囲は極めて狭く、腹腔内全体を概観するには不適当と考えられた。臨床例では、むしろ紫外線照射で広く観察する方が実際的と思われる。 3.ヌードマウスにおける微小転移モデルの確立:上述のごとく腹膜転移モデルは、確立することができた。しかし、MKN45下肢移植モデルでは、リンパ節転移の頻度は低く、治療実験に用いるには、もう少し転移頻度の高い細胞株を検討すべきであることがわかった。
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