研究分担者 |
植木 孝浩 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10309461)
竹内 雅春 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00258162)
中井 謙之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50198024)
筒井 ひろこ 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914)
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
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研究概要 |
HGFの抗線維化作用については,マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現量を検討した。ジメチルニトロースアミン(DMN)により作成したラット肝硬変モデルにおいて,HGF治療群と非治療群でMMP-3の発現量をWestern blotによる解析で比較した。HGF治療群において,病理組織学的検討および肝組織中HGF発現量からHGF投与後7日目〜14日目が抗線維化作用の最も強い時期と考えられた。HGF投与後7日目〜14日目において,肝組織中のMMP-3の発現量は非治療群に比し有意に増加していた。この結果から,肝組織中で発現したHGFが,TGF-βを抑制することにより線維化を抑制し,肝組織中の既存の線維に対してはMMPが働き抗線維化に作用していると考えられた。 ヒト臨床研究への展開については,安全性の面を中心に検討した。安全性の面でウイルスベクターを用いずnaked plasmid DNAを肝動脈より注入する遺伝子導入方法を選択している。この方法での全身の臓器におけるplasmid DNAの分布を経時的にPCR法で検討した。プライマーはplasmidに特異的なものを作成し,HGF導入後2日目,7日目,14日目,21日目,28日目の全臓器からDNAを抽出し,PCRを行なった。脳,精巣,卵巣などの主要臓器にも2日目,7日目で検出されたものもあったが,いずれも一過性であった。肝臓のみが28日目まで検出され,肝動脈からの遺伝子導入は臓器選択性の高いことが示され,他臓器におよぼす影響は非常に少ないものと考えられた。安全容量の検討では,HGFの抗線維化作用が確認できている容量の50倍,100倍濃度のHGFを投与し癌誘発への関与などの副作用を検討したが,naked plasmid DNAの遺伝子導入では認められなかった。
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