研究課題/領域番号 |
11470266
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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研究分担者 |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
植木 孝浩 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10309461)
竹内 雅春 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00258162)
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914)
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キーワード | 肝硬変 / 肝細胞増殖因子(HGF) / 遺伝子治療 / naked DNA |
研究概要 |
非可逆性慢性疾患と考えられ、治療は対症療法のみであった肝硬変症に対しHGF遺伝子導入による遺伝子治療を行いラット肝硬変モデルで優れた治療効果を確認した。本研究では本法をヒトへの臨床治療に応用すべく、1.HGFの抗線維作用の基礎的メカニズムの解明、2.霊長類動物を用いたHVJ-liposomeのベクターとしての安全性の確認、3.HGFを用いた動物肝硬変モデルに対する肝切除術に伴う肝不全状態の予防、さらに臨床応用にあたり、より実用的かつ安全と考えられるベクターを用いない4.HGF naked DNAによる肝硬変ラットの遺伝子治療効果の検討、5.HGF naked DNAによる大動物(イヌ)肝硬変モデルの遺伝子治療効果の検討、6.HGF発現が肝腫瘍増殖に及ぼす影響、以上6項目につき研究を行った。結果として、HGFの抗線維作用のメカニズムの解明ではHGFがKuppfer細胞に作用してTGF-β1の発現を抑制するよりも、MMPの発現を増強することにより抗線維作用が発揮される可能性が示唆された。霊長類動物へHVJ-liposomeを用いて遺伝子導入を行いベクターとしての安全性を確認しヒトへも十分に応用可能であることを証明した。HGF導入により肝切除範囲の制限や術後の肝不全の回避される可能性が示唆された。ベクターを用いないHGF naked DNAによる肝硬変モデルでの遺伝子治療効果の検討ではラットのみならず大動物であるイヌでも良好な結果を得ることができた。HGF発現が肝腫瘍増殖に及ぼす影響においてはin vivoでHGFは肝癌増殖に有意に働くという所見は示唆されず、むしろ抑制の方向に働く傾向を認めた。以上の結果より難治性肝疾患である肝硬変に対する遺伝子治療はヒトへの臨床応用が十分に可能であることが示唆された。
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