研究課題/領域番号 |
11470271
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平田 敏樹 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70281110)
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研究分担者 |
和田 洋巳 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90167205)
福瀬 達郎 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90263152)
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キーワード | 肺移植 / 心停止ドナー / 虚血再潅流障害 / preconditioning / 虚血耐性 / ミトコンドリア |
研究概要 |
【目的】Chemical preconditioningは、酸化的リン酸化を化学的に抑制する前処理により、エネルギー代謝の障害に対し抵抗性を増強させることと定義される。肺移植への応用を目指し、chemical preconditioningが心停止後虚血肺における再潅流障害を抑制するか否かを検討した。 【方法】動物はmale Lewis ratで,ex vivo肺潅流モデルを用いた。 実験群は4群あり虚血時間および投与薬剤にて分けられ、虚血状態は脱血による心停止により導入された。2群では生理食塩水を心停止導入直前に投与し、sham群は0時間、虚血群(n=7)は1時間(21℃)の虚血時間を導入した。残りの2群では、虚血時間は0時間と1時間にされ、mitochondrial complex II inhibitorである3-nitropropio nat(3-np)を投与した(3-np群、3-np+虚血群)。3-np群を除く3群では、1時間の冷所保存後、120分間ラット血液で再潅流された。(3-np群では、心停止を行わず3-np投与直後の肺内高エネルギーリン酸物質のみが測定された。また、上記実験群に対応した実験群をミトコンドリア機能の目的で4群を1セット作成した。 【結果】1.3-np投与によりATPレベルおよびミトコンドリアの呼吸機能は虚血前に抑制された。2.3-np投与により心停止後1時間の虚血による肺再潅流障害は有意に軽減された。3.3-np投与によりATPレベルは虚血後保存された。4.3-np投与により虚血後のミトコンドリアの呼吸機能は虚血単独よりも低い値を示した。 【結語】3-np投与によるchemical preconditioningが心停止後ドナー肺における再潅流障害を抑制する可能性が示めされた。
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