研究課題/領域番号 |
11470279
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
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研究分担者 |
中村 真人 東京医科歯科大学, 助教授 (90301803)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00216996)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
西中 知博 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員
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キーワード | 人工心臓 / 定常流ポンプ / 脳代謝 / 自律神経 / 液性調節因子 / 全身末梢血管抵抗 / 反受容体反射 |
研究概要 |
1.中枢神経系に関する検討 長期循環補助を目的とした定常流ポンプの開発が進み、欧米では臨床使用が開始された。しかしながら、その長期使用に伴う脳代謝への影響についてはいまだ明らかにされていない。定常流型血液ポンプを用いた長期左心補助循環施行時の脳代謝状態の変化について検討を行った。検討は成山羊9頭に対して拍動流左心バイパスを作成し、手術侵襲が無視できる術後2週間後に無侵襲下に遠心ポンプに交換し、定常流型ポンプによる左心バイパスを以後4週間施行するモデルを用いた。検討項目としては頚動静脈血脳酸素含量較差、脳酸素摂取率、頚動静脈血グルコース量較差、頚静動脈血脳乳酸量較差、乳酸酸素指数について検討した。これらの指標はいずれも全経過を通して有意な変化を認めず、定常流型ポンプを用いた長期左心補助循環による脈圧の低下は脳代謝に明らかな影響を与えないことが解明された。 2.自律神経系、液性循環調節因子に関する検討 長期定常流左心補助循環施行時の血管収縮性液性調節因子、血管トーヌス、および圧受容体反射感受性の変化について検討を行った。成山羊9頭に対して上記と同様のモデルを用いて行った。具体的にはノルエピネフリン値、抗利尿ホルモン値、レニン活性、エンドセリン値、全身末梢血管抵抗、ニトログリセリンを静注した際の全身末梢血管抵抗の変化より体血管系のトーヌスの変化、圧受容体反射の感受性の変化を検討した。その結果は液性循環調節因子は全経過を通して有意な変化を認めなかった。安静時の全身末梢血管抵抗値、ニトログリセリン静注後の全身末梢血管抵抗の最低値いずれにも有意な変化を認めず、血管のトーヌスは維持されていると考えられた。また、圧受容体反射の感受性も全経過を通して有意な変化を示さず、明らかな変化は来していないと考えられた。長期定常流左心補助循環による脈圧の低下は血管収縮性液性調節因子、血管トーヌス、および圧受容体反射の感受性に影響を与えないことが示された。
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