研究概要 |
本研究ではp53 family蛋白として新しく1997年にcloningされたp73および,1998年にcloningされたp63(p51,p40)について酵母内で転写活性化能を検定する酵母機能アッセイを構築し,それを用いてこれら分子の脳腫瘍における機能的意義を解明することである. この研究により以下のような成果を得た. 1)p73について酵母機能アッセイを膠芽腫,髄膜種計52例に応用し,変異の検索を行い変異は存在しないことを明らかにした.p73のisoformのうちα,β,γ,εの発現は髄膜腫の悪性度に関係し増加することを明らかにした(Nozaki et al., Brain Pathology, 2001). 2)p53のrecessive mutantはp73を選択的に阻害することが知られているが、膠芽腫などヒト腫瘍で見いだされたp53変異は優性阻害性変異の場合にはアリルを選択しないが,劣性変異の場合にはp73を強く阻害するArg72のアリルを選択することを明らかにした(Carcinogenesis, 2001) 3)ヒト癌に見いだされたp73変異P405RとP425Lの転写活性化能を解析し報告した(Oncogene, 2001). 4)p53はG1期のみならず、G2Mの細胞周期制御にも関わるが、p53温度感受性変異神経膠腫株を用いcell cycleとの関係の詳細解析を行った(Oncogene, Int J Cancer). 5)p63,p73について定量的に転写活性化能を検討できるyeast lucifcrasc assayを開発、近く誌上発表の予定である。
|