研究概要 |
虚血性細胞死におけるグルタミン酸濃度の異常上昇の引き金となるのがグルタミン酸トランスポーターの逆転による、という仮説に立脚し、グルタミン酸トランスポーターを阻害した状態での細胞外グルタミン酸濃度や虚血性神経細胞死の変化を捉えるべく、平成12年度はin vivoモデルにおいて、以下の実験を行った。 (1)グルタミン酸トランスポーター阻害薬の脳内微小透析法による灌流投与 砂ネズミ海馬にグルタミン酸トランスポーター阻害薬であるグルタミン酸アナログ(tPDC)を脳内微小透析法にて投与し、一過性全脳虚血を加えた。 (a)tPDC灌流により細胞外グルタミン酸濃度の上昇が確認された。 (b)tPDC前投与した砂ネズミに一過性全脳虚血を加えたが、vehicleと同様のCA1細胞死が認められ、明らかな保護効果は認められなかった。 (2)グルタミン酸トランスポーターノックアウトマウスを使った脳梗塞作成 Homoマウスの収穫率が悪く、ヘテロ同志から回収されるのはわずか5%であった。痙攣発作による早期死亡が報告されているが、バルプロ酸投与にてこれは防止された。HomoとWildとを局所脳虚血(中大脳動脈永久閉塞)に供し脳梗塞体積の比較を行った。 (a)梗塞体積はwildが12.6±10.3mm^3,homoが12.6±6.8mm^3)と有意差を認めなかった。 平成13年度は(2)を進め、弱い虚血、つまり1時間での虚血再灌流を行って脳梗塞体積の比較を行っている。すでにこのモデルも当教室にて確立している。
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