研究課題/領域番号 |
11470284
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 富勝 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251257)
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研究分担者 |
浅野 修一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
辛 正廣 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70302726)
杉下 守弘 東京大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10114513)
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キーワード | 側頭葉てんかん / ガンマナイフ / functional MRI |
研究概要 |
難治性側頭葉てんかんに対して一般的には選択的海馬扁桃体切除術が行われているが、我々はこの方法を一歩前進させる方法として1996年よりガンマナイフによる海馬扁桃体の定位的放射線照射を行った。本研究に登録された症例は男2例、女5例の計7例。このうち2例(男1例、女1例)では低線量(18Gy 50%照射線量)ガンマナイフ治療を施行、他の5例(男1例、女4例)では高線量(25Gy 50%照射線量)ガンマナイフ治療を施行した。各症例ともガンマナイフ治療の前後で高次機能検査を施行した。またictal-SPECT, PET, functional MRIも可能な症例において施行した。2例の低線量ガンマナイフ治療群ではそれぞれ30ヶ月、16ヶ月の追跡でも発作頻度に変化はなく治療の有効な結果が得られず、最終的には両症例とも外科的手術を施行しててんかん発作の消失をみた。またMRIにて組織反応は出現せず、高次機能検査においてもガンマナイフ治療前後で変化は認められなかった。切除標本の病理像は、通常の海馬硬化所見に加え反応性星細胞の増殖、変性神経細胞の存在など明らかな放射線照射に対する組織反応が見られたが壊死巣は小さいかもしくは見られずこの程度の組織変化では補佐速成にはつながらず、非組織障害性の照射線量で発作を抑制できる可能性は低いと考えられた。一方、高線量治療群においてガンマナイフ照射後にMRIにて海馬の組織変化及び広範な脳浮腫が認められたがいずれの症例においても発作頻度の有意な減少は認められなかった。以上の結果と文献での報告から、発作抑制には側頭葉内側構造の大部分に壊死巣を形成するほどの線量が必要と考えられる。しかし高線量では低侵襲とはいい難い脳のダメージがあり、真の有効性や至適線量分布に関しては未確定と言わざるを得ない。小壊死巣であっても至適部分であれば発作を抑制できる可能性は残されており、照射体積を減らすことで脳浮腫の軽減をはかることができると期待できる。
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