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2000 年度 実績報告書

くも膜下出血後の髄液内炎症性サイトカインの動態と正常圧水頭症の成因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11470287
研究機関信州大学

研究代表者

多田 剛  信州大学, 医学部・付属病院, 講師 (00236530)

キーワードsubarachnoid hemorrhage / TGF-betal / leukocytes / fibrosis / Na K ATPase / hydrocephalus normal pressure
研究概要

クモ膜下出血後の髄液中で様々な炎症性サイトカインが上昇し、その一部が髄腔内の白球から放出されることは前年度報告した。本年度Neurological Researchに採用され、現在印刷中である。本年度は正常圧水頭症に認められる可逆性の痴呆症を動物実験で解析した結果を報告する。TGF-β1はマウスに交通性水頭症を惹起する。同様の実験をラットで行うとマウスの実験時に見られるような水頭症は脳室拡大は認めないが、クモ膜下腔の繊維化が見られ、さらにそれらのラットでは空間認識能の障害が明らかに見られた。そこでの研究ではクモ膜下腔の繊維化が空間認識能に与える影響について検討した。13週令の雄Wisterラットの脳室内にhuman recombinant TGF-β1を直接または浸透圧ポンプを用いて24時間で注入し、3ヶ月後モリス水迷路で空間認識能を測定した。次に断頭して脳室径やクモ膜下腔の超微構造、Na^+K^+-ATPase活性を組織学的に検討した。他のラットではNa^+K^+-ATPaseの阻害剤であるouabainを7日間持続注入ポンプで注入し、注入中と注入後3週後に同じようにMorris水迷路を行った。その結果、TGF-β1注入ラットでは空間認識能が障害されるとともに組織学検査では能室拡大はないもののクモ膜下腔の繊維化とともにくも膜細胞のNa^+K^+-ATPaseが失活していた。Ouabain注入ラットでは容量依存性に空間認識能が障害されるとともにくも膜細胞のNa^+K^+-ATPaseがouabain注入中のみ失活し3週間後には空間認識能が正常に戻るとともになんらの組織変化も見られなかった。全てのグループの泳速にも有意差は認めなかった。これらの結果からNa^+K^+-ATPase活性とクモ膜下腔の脳脊髄液の流れが空間認識能の維持に必要であることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Takizawa T.,Tada T et al: "Inflammatory cytokine cascade released by leukocytes in cerebrospinal fluid after subarachnoid hemorrhage"Neurological Research. (In press).

  • [文献書誌] 関口泰之,村上健太郎,柳沢新,中里ふみ,瀬口達也,多田剛 他2名: "家庭用プールとビデオカメラを用いたMorris水迷路の簡易実験法"信州医誌. 48. 257-260 (2000)

  • [文献書誌] 上松耕太,戸村哲,宮原孝寛,中里ふみ,滝沢壮臣,北沢和夫,多田剛 他: "TGF-β1髄腔内投与ラットの空間認識能の評価-Morris水迷路試験に用いるラットの選択-"信州医誌. 47. 113-118 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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