研究分担者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
佐藤 康二 浜松医科大学, 教授 (80235340)
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
温 同春 愛媛大学, 医学部, 助手 (70284411)
出崎 順三 愛媛大学, 医学部, 講師 (00036451)
|
研究概要 |
エリスロポエチンは一酸化窒素(NO)の神経毒性を軽減することにより神経細胞を虚血傷害もしくは低酸素傷害より保護することが我々のこれまでの研究により明らかにされている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,4635-4640,1998)。しかし、エリスロポエチンがNOの下流域でどのような細胞内情報伝達系を賦活して神経細胞保護作用を発揮するのかは不明である。そこで今年度は、エリスロポエチンの虚血脳保護作用の分子機構について研究した。具体的には、まずロテノンと2D-グルコースを用いてchemical hypoxiaを負荷された培養神経細胞の傷害を、エリスロポエチンが軽減するかどうかをしらべた。その結果、chemical hypoxiaの神経毒性を軽減するエリスロポエチンの濃度が10^4fg/mlという低濃度であることが判明した。さらに同濃度のエリスロポエチンがいかなる細胞死関連遺伝子群(Bcl-2,Bcl-w,Bcl-x_L,Bax,Bik,Bak,カスパ-ゼ,Akt,PI3k等)に影響を与えるのかをRT-PCR、ウエスタンブロットにより検討した所、エリスロポエチンはBcl-x_LmRNA及びBcl-x_L蛋白の発現を促進することが明らかとなった。従って、エリスロポエチンは細胞死抑制遺伝子産物Bcl-x_Lの発現上昇を介して強力に神経細胞を保護することが証明された。現在、in vivoでもエリスロポエチンの作用機構を解析している所である。
|