研究分担者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
佐藤 康二 浜松医科大学, 教授 (80235340)
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
温 同春 愛媛大学, 医学部, 助手 (70284411)
出崎 順三 愛媛大学, 医学部, 講師 (00036451)
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研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)は腎で産生される糖タンパク質であり赤血球の増殖分化を促進することより、腎性貧血の治療剤として臨床応用されている。最近アストロサイトがEPOを産生し、しかもEPOの発現は低酸素負荷により増強する事が見出された(J. Biol. Chem.269:19,488-19,493,1994.)。また一方で、神経細胞がEPO受容体(EPOR)を発現することが報告されるに至り、新たなEPO/EPO受容体システムが脳で機能していることが想定されるようになった(Blood 88:465-471,1996)。そこで我々は、スナネズミの一過性前脳虚血モデルならびに脳卒中易発症高血圧自然発症(SH-SP)ラットの中大脳動脈皮質枝(MCA)永久閉塞モデルを用いてEPOの効果を検討した。その結果外来性のEPOは虚血障害に対して神経保護効果がある事が明らかとなった。一方EPO受容体の細胞外ドメインすなわち可溶型EPO受容体(sEPOR)を作成し脳室内投与した所、虚血性神経細胞障害が増悪した。従って内因性のEPOが確かに神経細胞保護作用を示す事も明らかとなった。次いでEPOの保護効果を検討するためbcl-2等の細胞死関連遺伝子に関して検索した結果、EPOの投与により虚血領域でのBcl-x_L、mRNAとBcl-x_L蛋白の発現亢進が起こることがRT-PCR法とWestern blotting法により確認された。またIn situ hybridization法により、MCA閉塞後24時間目に大脳皮質梗塞巣周辺部でEPOR mRNAの上昇を認めた。更に初代培養神経細胞を用いた検討でも、EPOの神経保護効果は少なくともその一部は抗アポトーシス因子Bcl-x_Lの発現亢進を介するものである事が示唆された。
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