研究課題/領域番号 |
11470298
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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研究分担者 |
星 道生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265844)
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
須川 誠 中外製薬株式会社, 研究主査(研究職)
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キーワード | 脳腫瘍 / 単純ヘルペスウイルス / 浸潤抑制因子 / サイトカイン / 遺伝子治療 |
研究概要 |
細胞傷害性ウイルスそのものを腫瘍内で特異的に複製させ、それに追随して複数の機能遺伝子を効率良く発現させることで、実用化しやすい単一ベクター上で、効率の高い複合治療システムを得ること、および毒性減弱型のベクターを用いることで進行癌をも対象とする全身投与が可能かどうかを検討目的とする。 (1)HSVの複製開始配列oriと、パッケージングシグナルを含むpBR322起源のプラスミドを用いて、CMVプロモーター下流にTIMP2、INFγを組み込んだアンプリコンプラスミドを構築後HSV-G207をヘルパーウイルスとして各遺伝子を発現するdefective HSV vectorを作成した。(2)in vitro局所投与の解析では、vectorのウイルス産生能に大きな差は認められず、plaque forming法による細胞傷害活性の解析でも、ヘルパーウイルスを同濃度で感染させる限りは両者に差は認められなかった。これらの結果は新たに作成したベクターにおいてもヘルパーウイルスによる細胞傷害活性が維持されていることを示す。(3)Invivo解析:局所投与では、G207のみ、G207+IFNγ、G207+TIMP2、G207+IFN+TIMP2の順に効果の増大が認められた。Intravesical therapy,静注による血管内投与ともに著明な膀胱癌腫瘍抑制効果が認められ、他臓器への副作用は認められなかった。また脳腫瘍モデルマウスに対しても静注で治療効果が得られた。HSV-G207をヘルパーウイルスとして機能遺伝子を同時発現するHSV vectorを開発し、TIMP2とIFNγを付加することで治療効果が増強することが判明した。毒性減弱型G207は、膀胱内投与や静脈投与が副作用無く可能であることが示唆された。
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