1、LacZ遺伝子導入を行った骨膜組織の関節軟骨欠損部への移植:純系(NZW;New Zealand White)ウサギの脛骨近位より麻酔下に骨膜組織を採取し、遺伝子銃装置を用いてβ-galactosidase遺伝子を導入した後、膝関節軟骨欠損部へ移植した。この際発現ベクターはCMVプロモーターを有するものを用いた。遺伝子発現は2週、4週では認められたものの6週では認められず、in vitroで器官培養を行った場合と比し、発現期間が短くなっていた。 β-galactosidase遺伝子導入群と非導入群との間で組織修復の差は認められず、遺伝子導入操作による組織障害はないものと考えられた。 2、発現ベクターの違いによる発現期間の検討:前述のごとくin vivoではin vitroの実験系より発現期間が短くなっていたので、比較的発現期間が長いと言われているCAGプロモーターを有する発現ベクターについても検討した。培養骨膜細胞および骨膜器官培養系について検討したところ、わずかではあったがCMVプロモーターを用いた場合よりも発現期間が長いという結果が得られた。 3、骨膜組織へのヒアルロン酸合成酵素(HAS)遺伝子導入:同系ウサギの脛骨近位より自家骨膜を移植し、遺伝子銃装置を用いてmouse HAS遺伝子(pcDNA3-HAS2)を導入後、器官培養を行った。組織学的にはコントロール群と比し大きな変化は認められなかった。現在半定量的RT-PCR法を用いたI型およびII型コラーゲン組成解析により、HAS2遺伝子導入骨膜組織の質的変化について検討中である。
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