研究概要 |
生後4カ月頃に骨の成長が完了し、正確な軟骨欠損の作製および操作が手技的に可能な日本白色家兎をモデル動物に選び、生後5カ月の雄兎の大腿骨膝蓋窩中央に軟骨下骨に達する深さ3mmの欠損を作製した。以下の4群での修復過程を組織学的に検討した。A)直径2.5mm、深さ3mmの円柱状軟骨全層欠損はほぼ正常な関節軟骨で修復された。B)直径5mm、深さ3mmのの円柱状軟骨全層欠損は線維組織で不完全に置換された。C)Bと同様の円柱欠損に軟骨細胞・骨膜移植を施すと硝子軟骨による良好な修復が起こった。D)Bと同様の円柱欠損にコラーゲンゲルと骨膜を移植すると、3カ月までは修復像を示すが6カ月までに変性して線維組織様になりプロテオグリカンの染色性がなくなった。これらの知見を確実にするとともに経時的変化を明らかにするためにさらなる実験を行う予定である。 また、これまで軟骨の発生・分化に関わる遺伝子の研究が行われてきた哺乳類はマウスやラットがほとんどで既知のウサギの遺伝子は少ないため、軟骨全層欠損モデル兎の修復組織における遺伝子発現の変化を経時的に解析するためにプローブとして必要な遺伝子をクローニングした。遺伝子発現をみるためのプローブとして使用するので、マウスやラットの遺伝子塩基配列を基にPCRプライマーを作製し、RT-PCRによってcDNA断片を増幅し、クローニングした。これまでに単離した遺伝子はTypeII collagen,Aggrecanである。今後さらにFb,bFGF,c-fos,IL-1,Sox9,Ihhなどの遺伝子をクローニングする予定である。
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