研究概要 |
1.関節軟骨の修復過程の遺伝子発現の変化を経時的に観察する上で,必要なプローブの作成 関節軟骨の修復過程に発現すると考えられる遺伝子(Aggrecan,Type II collagen,TGF-beta,c-fos)のプローブの作成を行った.ヒト,ラット,マウスから確認されている塩基配列をもとにPCRプラーマーを作成した.これを家兎の体内組織を用いて,その相同性を確認し,家兎にも使用できることを確認した. 2.間葉系幹細胞を用いたin vitroでの実験 関節軟骨欠損部の修復は通常軟骨下骨からの新生組織にて行われる.通常,この修復は骨髄空内からの間葉系幹細胞の関与が示唆されているため,まず,間葉系幹細胞の単離培養を行い,これらからのAggrecan,Type II collagenの発現について調査を行った.骨髄空から採取した細胞を単層培養を行い,接着細胞(通常間葉系幹細胞と考えられている細胞)と血球等の浮遊細胞を分離した.約三週間培養することで,接着細胞は増殖しコロニー形成するため,これを採取した(間葉系幹細胞の単離).単離した細胞をさらに単層培養,高密度(pellet)培養およびコラーゲンゲル培養をおこなった.培養にはTGF-beta,デキサメサゾンを添加した.その結果,高密度およびコラーゲンゲル培養を行ったものでは軟骨分化の指標であるAggrecan,Type II collagenのmRNA発現を認めた.以上から関節軟骨修復過程での間葉系幹細胞の関与をin vitroにて確認した. 3.コンドロイチン6硫酸化酵素の発現 軟骨成熟に関与するとされるコンドロイチン6硫酸化酵素のプローブの作成をすでに判明しているヒトcDNAをもとにPCRプライマーを作成,家兎関節軟骨で発現およびその相同性を確認した.
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