研究課題/領域番号 |
11470318
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部, 講師 (00163329)
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研究分担者 |
渡辺 逸平 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251819)
佐藤 一範 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70126415)
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 助教授 (70181419)
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キーワード | 脳虚血 / 虚血耐性 / 膜電位感受性色素 / 近赤外光 / ビデオエンハンス / 海馬スライス / 興奮伝搬 / 膜電位 |
研究概要 |
本年度は以下のような検索を中心に研究を進めた。 1.膜電位感受性色素(RH414)で染色した砂ネズミの脳スライス標本を用い、虚血耐性を獲得させた神経細胞とそうでないものについて、電気刺激により発生させた膜脱分極伝搬の差異を検索した。5分間の前脳虚血負荷24時間の神経細胞では形態学的には変化は認められなかったが、膜の興奮伝搬に関しては対照群に比較して著明な伝搬範囲の縮小と興奮の持続が観察された。また5分間の前脳虚血後7日では、海馬CA1近傍の神経細胞の脱落が認められ、膜の興奮伝搬も24時間後と同様に伝搬範囲が縮小していたが興奮の持続は認められないかむしろ24時間後より短縮していた。以上より虚血後の神経細胞では、形態学的に変化が認められない時期から既に機能的傷害ないしは変化が生じていることがわかった。一方2分間の前脳虚血で虚血耐性を獲得させた神経細胞では、5分間の前脳虚血後1、3および7日後の膜興奮伝搬は単純虚血群に比較すると伝搬範囲の抑制の程度は少なかったが、対照群に比較すると若干抑制されていた。興奮の持続に関しては、単純虚血群のような興奮の持続延長は認められなかった。これらの知見より虚血耐性獲得神経細胞では耐性非獲得神経細胞に比較して、虚血直後の膜興奮伝搬に関する傷害が軽度である可能性が示唆された。 2.脳スライス標本等の観察対象深部の細胞形状の経時変化などを観察するため、組織透過性の良い近赤外光を用いたビデオエンハンス顕微鏡システムを導入した。スライドグラス上のラット培養脳神経細胞を同システムを用いて観察した。従来の光学顕微鏡では観察することのできなかった細胞深部の細胞形状が、目的とする深度で観察可能であった。さらに潅流装置、組織スライスの固定などを考察・工夫することにより、生きた細胞を色素等の影響を受けることなく観察できる可能性が示唆された。
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