マウスおよびラット脳スライスにおける64チャンネル多点細胞外刺激/記録をMED64SYSTEM(松下電器)を用いて行った。ノイズ対策と温度コントロールのためにチェンバー全体を恒温層にいれて実験を行った。 1.マウス/ラット脳スライス作成と誘発電位の多点記録 マウスをエーテル麻酔下に断頭、冷却後に厚さ350ミクロンのスライスを作成した。0.1%ポリエチレンイミンでコーティングし、さらに10%牛胎児血清と馬血清を添加した培養液にひたしたMED電極上にスライスを載せ、海馬のSchaffer側枝を中心に誘発電位を多点記録した。前年度はこのときの問題点として、1)スライスが電極からはがれて浮いてしまう(特に還流中)2)還流液を吸い出しているときに液面の変化およびじゅるじゅる音によると思われるノイズの発生、が持ち上がった。2)に対しては吸引速度と吸引針を工夫することにより、解決した。しかし、還流中のスライス片剥離はかなり改善されてはいるが、まだ不十分であり、今後も引き続き工夫する予定である。 2.長期増強の形成 上記実験で、15-20分のコントロール刺激後、テタヌス刺激を加えて長期増強を誘発した。しかし、昨年度同様まだ安定して記録ができているわけではない。記録しても、コントロールの誘発電位が20分のうちに徐々に増していく現象がまま見られた。これに対しては、スライスのインキュベーション条件(温度と時間)と刺激条件(パルスの強さや間隔)をさらに検討する必要がある。 3.マウス/ラット脳スライス作成とパッチクランプ・高速カルシウムイメージング同期計測 現在はまだwhole cell patchがようやくできるようになったところである、LTPの麻酔後増大のシナプス伝達の変化がシナプス前か後かを推測し、高速カルシウムイメージングを行う予定であるが、現在はまだパッチクランプを練習中である。
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