研究概要 |
昨年度の基礎的研究によって確立された冷却法を採用してプロポフォール、ケタミン、フェンタニル麻酔下での運動誘発電位に対する低体温の影響を検討した。 【方法】対象は家兎12例。ケタミン(25mg/kg/hr),フェンタニル(50mcg/kg/hr)を持続静注した。気管切開後、Fio_21.0、PaCO_235mmHgとして人工呼吸した。運動野直上の硬膜外から電圧刺激で筋収縮を誘発した。複合筋活動電位は対側のヒラメ筋から導出した。単発刺激後、3,5連の高頻度反復刺激もおこなった。プロポフォールは10mg/kgを急速投与後0.8mg/kg/min持続投与して30分後から、全身冷却により食道温を40,38,35,32,30,28℃として各温度での振幅(peak to peak)と潜時を記録した。検定は分散分析、post hocはPLSD、p<0.05を有意とした。 【結果】単発刺激では、潜時は32℃以下で有意に延長、振幅は30℃以下で減少した。高頻度反復刺激を用いると振幅は28℃にいたるまで変化しなかったが、潜時の延長は拮抗できなかった。 【結論】プロポフォール、ケタミン、フェンタニルの麻酔下において、潜時は低温で延長するため、体温低下をともなう手術中のMEPモニタリングの指標に適さない。一方、振幅は有意な変化がなく、その指標となる可能性を有する。
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