研究概要 |
ウサギ運動誘発電位(motor evoked potentials ; MEPs)モデルを用いて麻酔薬及び低体温のMEPsへの影響について検討した。 1)亜酸化窒素およびプロポフォールのMEPsへの影響を検討した。いずれも単発刺激でのMEPを容量依存的に抑制した。ただし、亜酸化窒素によるMEP抑制効果は、刺激法としてトレインパルスを使用することにより改善した。しかし、この改善効果は背景のプロポフォール濃度が高いほど、少なくなった。 2)低体温のmyogenic MEPsへの影響を検討した。体温を35,35,32,30,28℃まで順次低下させ、各温度におけるMEPを記録した。単発刺激を用いた場合、MEPの振幅は有意に減少したが、刺激法としてトレインパルスを使用した場合、28℃までは振幅の有意な低下をみとめなかった。ただし、潜時は体温の低下とともに有意に延長した。 3)亜酸化窒素によるMEP抑制効果が低体温によって影響されるかを検討した。40,35,30℃の3つの体温群にわけ・30%、50%、70%亜酸化窒素を投与し検討した。結果、亜酸化窒素によるMEP抑制作用は低体温下において増幅される可能性が示唆された。 以上の結果より、刺激法としてトレインパルスをしている限り、28℃程度の低体温まではMEPモニタリングが可能であある。ただし、低体温下では麻酔薬の影響について注意深く配慮する必要がある。
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