研究概要 |
外科手術中のストレスとしての痛みの遮断については,従来までの麻酔科学の研究の主眼でありました.しかし,これまでの研究から外科手術ストレスによりもう一つの求心性の刺激が中枢に伝えられることが判明しています.それがサイトカインやプロスタノイド系をはじめとする炎症伝達因子で,その結果手術中に如何に無菌的に操作を行おうとも、手術後1日目に約9割の患者において有意な発熱が観察されるとされています.本研究は,現在の麻酔科学によっても完全に遮断することが達成されていない,残された外科手術中のストレスである末梢からの炎症反応の中枢への伝達阻止を達成しようとするものです. 全身麻酔中に従来までの麻酔方法によってはいかにサイトカイン等による外科的ストレスにより引き起こされる炎症反応の状況をインフォームドコンセントのもとに外科手術患者より採血し,東京女子医科大学に平成8年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号08671772)により設置しましたcytokine測定解析装置(日本インターメッド・Immuno Miri NJ-2201)を使用して、cytokine測定試薬キットにより綿密かつ正確に急性炎症応答物質として総称されていますサイトカイン群特に内因性炎症物質として既知の物質であるIL-1(α、β)、IL-、TNFα、INFα、MIP-1(α、β)等を術中,術後計測し,その生理学的変動を明らかにしました. この後,全身麻酔中に外科的ストレスの加わる以前に,末梢からの炎症反応としてサイトカインの中枢伝達を遮断するとされるイブプロフェンをはじめとする非ステロイド性鎮痛薬をインフォームドコンセントのもとに外科手術患者へ投与し,そして同様にcytokine測定・解析装置(日本インターメッド・Immuno Miri NJ-2201)を使用して、cytokine測定試薬キットにより綿密かつ正確に急性炎症応答物質として総称されていますサイトカイン群特に内因性炎症物質として既知の物質であるIL-1(α、β)、IL-6、TNFα、INFα、MIP-1(α、β)等を術中,術後計測し,その生理学的変動を明らかにします.
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