1.当科でABO不適合腎移植を行った7症例について、移植時0時間、1時間と拒絶反応発症時の移植腎生検標本病理組織学的所見と臨床経過を検討し、糸球体係締壁ならびに傍尿細管毛細血管内皮細胞の腫大、剥離と好中球の浸潤が液性拒絶反応の組織学的指標になるうることを示し、病理組織診断基準作成の基礎データを示した。 2.全国のABO不適合腎移植症例を多施設の協力を得て集計し、移植腎生着率、患者生着率、予後因子の解析を行った。A不適合、B不適合の別は予後とは関連がなかったが、レシピエント・ドナー年齢階層別による有意差がみられた。抗凝固療法の有無も予後に関連している傾向がみられた。現在多因子解析を加えてデータをまとめている。 3.血液型抗体とともに液性拒絶反応に関わる抗血管内皮細胞抗体について解析するため、ヒト腎微小血管内皮細胞培養系における同細胞のcDNAライブラリを作成した。 今後cos細胞に発現させ、体陽性血清との反応により責任遺伝子の解析を行う。
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