研究概要 |
1.癌の浸潤転移に関与する遺伝子発現の検討 尿路上皮癌組織において,SPARC,uPA関連遺伝子,VEGFisoform,PDECGFの各遺伝子発現を検討した。SPARCとu-PA,u-PAR,PAI-1,PAI-2とPDECGFの遺伝子発現は尿路上皮癌の浸潤に関与していると考えられた。VEGFisoformについては,VEGF121とVEGF165とVEGF189では,尿路上皮癌の浸潤において異なった役割があることが示唆された。膀胱癌のbiomarkerとしてSPARC,u-PA,PDECGFは有用と思われた。 2.活性型MMPの発現に関する検討 尿路上皮癌と腎細胞癌における活性型MMPの発現をゼラチンザイモフィーにより検討した。尿路上皮癌では活性型MMP-2が癌の浸潤に関与していると考えられた。また腎細胞癌ではMMP-2の活性化率が浸潤に関与し,予後規定因子なりうる可能性が示唆された。 3.浸潤性および非浸潤性尿路上皮癌細胞株の樹立と浸潤に関与する因子の同定 SCIDマウスに継代している浸潤性およぴ非浸潤性尿路上皮癌から細胞株を樹立した。この細胞株における各種遺伝子発現および蛋白発現を検討し浸潤に重要な役割を果たしている因子を検討中である。また浸潤性尿路上皮癌細胞株を用いてin vitroおよびin vivo selectionにより低浸潤亜型株および高浸潤亜型株を樹立し,その遺伝子発現の違いをディファレンシャルディスプレイ法により検討する予定である。
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