研究課題/領域番号 |
11470345
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
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研究分担者 |
尾林 聡 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10262180)
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50126223)
黒岩 俊彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (80129832)
小林 康祐 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70302867)
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キーワード | 加齢 / 女性ホルモン / 脳 / 脳梗塞 / 脳血流 / 脳血流自動調節能 / 記名力 / MRI |
研究概要 |
4.7tesla動物実験用MRI装置内における、縦緩和時間、横緩和時間、拡散係数、拡散異方性、交差緩和率測定に必要な撮像パラメターの設定と、その画像解析方法を確立した。加齢に伴い、拡散係数および交差緩和率が低下する傾向が認められたが、縦緩和時間、横緩和時間については明らかな変化は認められなかった。また拡散異方性は、加齢および性ステロイドにより変化する可能性が示唆されたが、さらに症例数を増やし検討する必要がある。 加齢に伴うMRIの変化と超微形態構造の変化との間に明らかな対応は認められなかった。今後脳内水分含量を含む他のパラメターとの比較検討が必要と考えられる。 中大脳動脈結紮に伴う脳梗塞の大きさは、雌では雄に比べ有意に小さいことが判明し、また卵巣摘出雌ラットでは雄と同程度の脳梗塞が出現することが明らかとなった。従って卵巣由来の性ステロイドは、脳虚血に対し脳保護的に作用することが明らかになった。これらの動物における中大脳動脈閉塞時の脳血流を比較したところ、雄および卵巣摘出雌ラットに比べ、雌ラットでは虚血の程度が有意に軽度であることが判明した。このことは、卵巣由来の性ステロイドが脳虚血における脳血流減少を軽減させ、虚血から脳を保護する作用があることが示された。この虚血時の脳血流保護作用を検討するため、雄、雌、卵巣摘出雌ラットに短時間の無酸素を負荷し、この際の代償的脳血管拡張能の比較したところ、雌ラットでは有意に血管拡張能が高いことが判明した。したがって卵巣由来性ステロイドは、脳血流自動調節能に対し有利に働いていることが明らかとなった。 加齢およびエストロゲンが脳機能に与える影響に関しては、放射状迷路によるラット記名力テストの手技を確立した段階であり、今後症例数を増やし比較検討をする必要がある。
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