研究概要 |
1.加齢、発達に伴う脳内水分含有量と4-7Tesla実験用MRIを用いた脳組織でのMRIのパラメータ_の推移とを比較検討するため水分含有量の指標である比重の測定と組織標本の検討を行った。横緩和時間拡散と比重より求めた脳内水分含有量は発達と共に上昇し両者の相関を認めた。拡散異方向性は加齢に伴い上昇したが、上昇の時期は組織学的なミエリン鞘の発達と一致し中枢神経線維の髄鞘化の過程が明らかとなった。 2.エストロゲン、プロゲステロンの脳機能、working memoryへの影響を評価するため空間学習能を検討した。雌SDラット41匹をOVX群(卵巣摘出n=11)、OE群(卵巣摘出後estrogen pellet皮下移植n=7)、OP群(卵巣摘出後progesterone pellet皮下移植n=8)、OEP群(卵巣摘出後estrogen pellet, progesterone pellet皮下移植n=7)、control群(n=8)の5群にわけた。各ラットに8方向放射状迷路学習を行い、学習終了後scopolamineを腹腔内投与し15分後に再実験を行った。working memory、reference memoryについてscopolamine投与前後の比較検討を行った。結果、OVX群OP群ではcontrol群に比して学習段階で空間学習能の低下を認めた。一方エストロゲン投与群、エストロゲンープロゲステロン投与群では学習能の改善を認めた。scopolamine投与後ではOVX群のみ他群に比してtotal error, working error, reference error, time, distanceが増加した。エストロゲンは学習、記銘に関して脳保護作用を持ち、特にスコポラミンの神経伝達阻害に対して保護作用を有するが、プロゲステロンもエストロゲン同様にスコポラミンの神経伝達阻害に対して脳保護作用を示した。
|