研究概要 |
1 FDDを用いたシスプラチン耐性関連遺伝子の検索 Fluorescent Differential Display(FDD)法を用いてCDDP耐性のKB細胞株(ヒト口腔底扁平上皮癌由来)ではhCGα2およびhuman mitochondrial cytochrome c oxidase subunit IIが過剰に発現していることを明らかにした。さらにWestern blot法によりCDDP耐性KB細胞株においてはhCGα2蛋白の過剰発現が認められた。 2 cDNAマイクロアレイを用いたシスプラチン耐性関連遺伝子の検索 ヒト由来既知遺伝子約千種類の遺伝子発現の差異を一度に検出できるcDNAマイクロアレイであるIntelliGene Human CHIP 1K Set(宝酒造)を用いてシスプラチン耐性関連遺伝子の検索を行った。ヒト口腔底扁平上皮癌細胞株KBとその耐性細胞株よりmRNAを精製し、遺伝子発現解析を2回施行した。発現差に再現性が認められた5種類の遺伝子(glycoprotein hormone-α polypeptide, folate receptor 1, interferon-α inducible gene, transmembrane 4 superfamily member 1, KIAA0069 protein)が確認できた。さらにNorthern blot法を用いて発現差異を検証した。 3 臨床症例における解析 シスプラチン超選択的動注療法を施行した上顎癌症例において、施行前の癌組織における上記の遺伝子と現在まで報告されている薬剤耐性に関連した遺伝子の発現をcDNAマイクロアレイを用いて解析した。生検組織から抽出できるmRNAは少量であるため、T7-based RNA amplification法によりRNAの増幅を行いcDNAマイクロアレイで解析を行った。その結果、遺伝子発現パターンによりシスプラチン超選択的注療法の効果が予測可能であることが示唆された。
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