研究分担者 |
小林 吉史 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70225556)
古謝 静男 琉球大学, 医学部, 講師 (60161923)
青笹 克之 大阪大学, 医学部, 教授 (30115985)
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50322904)
坂東 伸幸 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60312469)
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研究概要 |
今年度は本疾患における1)EBウイルス遺伝子配列と2)p53癌抑制遺伝子について解析した. 本疾患7例のEBウイルス遺伝子LMP-1、-2AについてPCR法およびnested PCRにて得られた増幅産物を鋳型にして塩基配列をオートシークエンサーにて決定、塩基多型、変異の有無およびアミノ酸の変化を検討した。その結果,LMP-1遺伝子では7例全てにC末端中30塩基、10個のアミノ酸欠失を認めた。また,B95-8株とは異なる1塩基変異を生じた部位は43ヶ所で、それにより22ヶ所のアミノ酸変異がみられた。塩基多型を認めた部位は11ヶ所存在し、その内アミノ酸多型は10ヶ所であった。LMP-2Aについては7症例全てに細胞傷害性T細胞のエピトープをコードしているエキソン6中グアニンがシトシンとなる塩基置換があり、セリンがスレオニンとなるアミノ酸変異を認めた。 また,本疾患31例におけるp53蛋白の過剰発現を免疫組織学的に,p53遺伝子の点変異をPCR法にて得られた増幅産物を鋳型にしたdirect sequence法にて検討した。その結果,p53蛋白過剰発現は15例(48%)に,p53遺伝子変異は6例(19%)に認められた。臨床像との関連性を比較したところ,p53遺伝子変異群では有意に進行期例,浸潤破壊性病変例,全身症状を有する例が多く,予後が不良であった. 以上の成績から,本疾患に潜在するEBウイルスLMP1遺伝子が他と異なる可能性と,細胞傷害性T細胞の一部に変異がある可能性が示された.また,p53遺伝子変異が本腫瘍の悪性度に影響している可能性が示唆された.
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