研究課題/領域番号 |
11470353
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
原渕 保明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80208686)
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研究分担者 |
野中 聡 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (50180758)
古謝 静男 琉球大学, 医学部, 講師 (60161923)
青笹 克之 大阪大学, 医学部, 教授 (30115985)
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50322904)
坂東 伸幸 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60312469)
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キーワード | 鼻性NK / T細胞リンパ腫 / EBウイルス / 悪性リンパ腫 / 鼻腔 / LMP-1 / LMP-2A / P53癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
今年度は鼻性NK/T細胞リンパ腫における遺伝子学的検討の一つとして、31例におけるβ-カテニン蛋白の発現とβ-カテニン遺伝子、Ras遺伝子変異について検討した.β-カテニン蛋白の発現は生検組織からパラフィン切片を作成し抗β-カテニンモノクローナル抗体(Transduction labo)を用いて免疫組織学的に検討した.β-カテニン、Ras遺伝子変異はパラフィン切片から得られたDNAを用いてβ-カテニン遺伝子のExon3、N、K-ras遺伝子のExon1、2をpolymerase chain reaction(PCR)法にて増幅した後,ダイレクトシークエンス法にて検討した.β-カテニンの免疫染色では31例中4例が陽性であり、遺伝子変異は5例に認められた。変異が同定された5例中3例はサイレント変異であった。他の2例はアミノ酸の変化を伴うミスセンス変異であり、複数以上の変異を認めた。また両者とも免疫染色にてβ-カテニンの核、細胞質内蓄積を認めた。また、β-カテニンのミスセンス変異と臨床病期との相関が認められ、変異がある症例は有意に病期が進行していた。N、K-rasの遺伝子変異は1例のみに認められたが、この1例は32例中もっとも予後不良な症例であった。 古謝は、家族内発症(父71才、息子39才)した鼻性NK/T細胞リンパ腫を報告した。いずれも農夫で農薬を大量に使用していたことから、本疾患の発症に遺伝的因子と環境因子の両者が関与している可能性を報告した.
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