研究課題/領域番号 |
11470354
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
古屋 信彦 群馬大学, 医学部, 教授 (80107606)
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研究分担者 |
長井 今日子 群馬大学, 医学部, 助手 (50302469)
高橋 克昌 群馬大学, 医学部, 助手 (30326839)
鎌田 英男 群馬大学, 医学部, 講師 (40251102)
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キーワード | 前庭代償 / 前庭小脳 / 前庭神経核 / グルタミン酸受容器 / AMPA型受容器 / NMDA型受容器 / 長期抑制(LTD) / 多細胞活動同時測定法 |
研究概要 |
本研究では前庭代償機構を動物実験にて追求し、代償機構がどのようにしてどこで行われるか、その過程で化学伝達物質はどのように何が作用するのかを明らかにすることを目的として実験計画遂行中のものである。平成12年度までに急性実験を行いラット前庭神経から外側半規管入力を受ける前庭2次細胞の記録に成功した。その細胞の回転刺激に対する反応結果から、記録細胞が半規管入力を持つタイプI細胞であることを同定した。回転に応じる前庭神経細胞はラムダから後方7〜7.7mmで、正中から1.5mmのところに小脳表面から深さ6〜6.5mm分布することがわかった。また急性実験の結果を踏まえて慢性電極の刺入部位の確立を図った。今年度は前庭機能の動物における簡易評価法を模索するための実験を行った。前庭代償機構を実験するに当たり、前庭機能の評価法は重要でありまた数種類の評価法があるがいずれも前庭動眼反射を使用するため眼位の正確な校正を必要とする。眼位の校正はサル、ネコなどでは可能であるがラット、ネズミなどでは一般に困難である。そこで前提機能の客観的評価法として近年、臨床的に有用性が評価されてきた前庭誘発筋電位(VEMP)を動物に適応することを試みた。前庭誘発筋電位は胸鎖乳突筋に対する耳石器からの抑制現象を表面筋電図で記録することにより耳石機能を評価する検査であるが筋の持続的緊張を必要とすることから動物からの記録はいまだ成功していない。今回私たちは除脳動物標本にて筋緊張を保ち、耳石器から興奮性の入力が存在する頚部伸筋から筋電図記録を行い、興奮性の誘発筋電位を記録することに成功した。この電位は聴性脳幹反応閾値上40〜50dBではじめて誘発されること、高頻度刺激では反応が小さくなるなど前庭筋電位と共通の事柄が多いことから動物における前庭誘発筋電位と同定した。この反応はまた音刺激を小さくすると潜時が延長することから前庭機能の評価にも利用可能であることが示唆された。現在慢性動物からも同様の電位記録を試みており、前庭代償過程における前庭機能評価に応用すること可能となった。
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