研究概要 |
神経芽細胞腫凍結検体約200検体を用いて,テロメラーゼ活性,テロメラーゼの構成成分発現を,購入した蛍光サーマルサイクラーを用いた定量Telomeric Repeats Amplification Protocol法とhTERTの定量RT-PCR法で,測定するとテロメラーゼ活性,hTERT発現によって予後良好と予後不良な腫瘍が大別されたが,一部中間値を示した. hTRのin situ hybridixation,法及びhTERT抗体を用いた免疫染色では,.予後良好な腫瘍はこれらの発現レベルが低く,一部には発現しない細胞が存在し、これに対し,高活性腫瘍は,殆どの腫瘍細胞がhTR,hTERTを高発現していた.テロメラーゼ活性が中等度で,予後不良であった症例では、腫瘍内の少数の細胞にhTR,hTERTが高発現していた。 高テロメラーゼ活性の腫瘍細胞を培養し、hTRに対するリゾチームやhTERTのantisense RNAの導入,hTERT抗体等の処理を行うと,テロメラーゼ抑制によって,細胞増殖が抑制され,また,アポトーシスに陥る現象が確認された.このことによって,テロメラーゼ活性消失・テロメア短縮とアポトーシスシグナルの関連が示唆された. hTERTのプロモーター領域に結合するMYCN産物の発現レベルと、hTERT発現、テロメラーゼ活性を検討すると,有意の相関を認め,神経芽腫ではhTERT発現調節にMYCN遺伝子産物の関与が強く示唆された.また,hTERTmRNAのsplicing Variantsの検討から,α-deletionはhTERTmRNA発現に抑制的に作用しており,hTERTmRNAのsplicingでのテロメラーゼ活性調節が示唆された. 以上の結果から,テロメラーゼ活性の定量と組織内の細胞の発現解析から神経芽細胞腫のの悪性度評価が可能で,治療への応用が可能と考えられた.
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