研究概要 |
本研究では歯周靭帯における細胞分化や増殖の機構を解明するために,セメント芽細胞,前セメント芽細胞,歯周靭帯線維芽細胞,未分化間葉系細胞などの分化段階の異なる歯周靱帯細胞株を樹立する目的で検討を進めてきた.本年度は,p53ノックアウトマウス由来歯周靭帯細胞株化の検討と,ヒトおよびラットからのセメント芽細胞/歯周靱帯細胞の株化と細胞特性の解析を行った結果,1.p53ノックアウトマウスから抜去した歯牙に付着する歯根膜からの継代培養を試みたが,明らかなoutgrowthが観察されず,以降の検討ができなかった.再度,検討を重ねようと考えたが,同マウスを独自に繁殖させることが供給元との契約上不可能であり,細胞採取の度に海外からの直接購入を余儀無くされた.そこで,再検討のための必要経費等を考慮した結果さらなる検討は困難と考えられた. 2.平成11年度に確立した歯周靱帯から分化段階の異なる細胞を採取する方法を用いて得たヒトならびにラット歯周靱帯細胞亜群に,hTERTあるいはSV-40T antigenを遺伝子導入することによって,細胞株を樹立できた.現在,いずれも継代数100を越えている.得られた細胞クローンには,増殖,石灰化能,石灰化関連蛋白の発現などにおいて,異なる態度を有するものがあり,それぞれを歯周靱帯内に存在する分化段階の異なる細胞株としてとらえ,今後の歯周靱帯研究に必要な細胞株として提供できる可能性が示された.
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