研究課題/領域番号 |
11470383
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
梅本 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20067036)
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研究分担者 |
高橋 祐介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20267511)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20247315)
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70148021)
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キーワード | Porphyromonas gingivalis / 線毛 |
研究概要 |
P.gingivalisの定着因子と考えられている線毛の機能を明らかにする目的で、P.gingivalis 381株線毛のサブユニットであるフィンブリリンの遺伝子(fimA)を同菌種の異なる菌株に伝達し、リコンビナント線毛の発現とそれに伴う性状の変化について検討した。 fimA381の伝達は、プラスミドベクターpYH420に結合し、得られたリコンビナントプラスミド(pYHF1、またはpYHF2)をエレクトロポレーション法によりP.gingivalis YH522に伝達した。その後、同菌より分離精製したプラスミドをP.gingivalis W50、BLO-1、O-131、ATCC 33277、BH18/10の各菌株に伝達した。381線毛タンパク質の発現は、SDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングにより確認し、リコンビナント線毛の形成は電子顕微鏡を用いたネガティブ染色およびイムノゴールド法により観察した。 381線毛タンパク質の発現は、受容菌により差が見られ、O-131、BLO-1、BH18/10およびYH522株では、明らかな41kタンパク質の増加が認められたのに対して、W50株ではそれらの菌株に比べて少なかった。また、381株線毛と同じ抗原性を示す33277株では発現量に変化はみられなかった。線毛構造物の形成は33277を除く他の菌株では、本来その菌が持つ線毛(native線毛)とは異なるリコンビナント線毛の形成が認められ、線毛タンパク質と同様に菌株によって形成量に差が見られた。なお、形質転換によって新たにリコンビナント線毛が形成された株では、菌体表層の疎水性、細胞付着性、および他菌種との共凝集性に低下傾向が認められた。これらの結果から、fimA遺伝子の伝達により形成された線毛には、天然の線毛に備わっている何らかの成分が欠落している可能性が示唆された。
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