研究分担者 |
藤沢 隆一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40190029)
水野 守道 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10125354)
大畑 昇 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60002185)
伊藤 秀明 日本製鋼所, 室蘭研究所, 主任研究員
滝田 裕子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30125330)
|
研究概要 |
当初の計画通りに、〔1〕天然歯再植での歯根膜再生と、〔2〕歯根膜付き人工歯根の開発の両面から研究を進めた。 【1】天然歯再植のよる歯根膜再生:昨年までに開発したイヌ天然歯再植系を改良して、骨吸収作用が強い骨形成蛋白質(BMP)に代えて線維芽細胞増殖因子(FGF)を用い、その担体としては、コラーゲン線維膜よりも、局所組織の刺激が少ないコラーゲンゲルにきりかえた。現在、レントゲン写真では、FGF(-)の対照に較べて、歯槽骨の再生進行が良好であった。現在、最終的な組織学的判定を待っている。 【2】歯根膜付き人工歯根:昨年度開発した2要素((1)セメント誘導装置と(2)歯根膜線維誘導装)からなる新規の歯根膜誘導デバイスを引き続き、検討、改良しBMPと共にラット皮下、次にビーグル犬に埋植した。 (1)セメント誘導用人工歯根デバイス:この装置は太さ1.5mmのチタン・ロッドに、50ミクロンのチタン線維からなる不織布(厚さ0.2mm,porosity、80%)を巻き付けたチタン・メッシュ外装チタン・ロッド(TMTR)である。これらの複雑な装置にヒドロキシアパタイトをコートするには、従来行ったスパッタリングなどの方法では、不可能であり、そのため、溶液からヒドロキシアパタイトを結晶化してコートする方法に挑んだ。結晶化の条件を検討した結果、小久保らの方法、およびその改良法を用いた。これらのデバイスをBMPと共にラットの皮下にビーグル犬の抜歯槽に埋植したところ、非常に早く表面に外層硬組織が形成されることがわかった。この組織はセメント様の機能をもつと考えられる。 (2)硬組織形成バリヤー用レーザー穿孔コラーゲン膜:このデバイスはTMTRの周囲に巻き付けて、骨とセメント様組織との癒着を防ぎ、歯根膜線維を再生させるためのFGFの担体である。そのために最適の孔の直径を確認するため、50,100,200,300,500,750,1000ミクロンの直径の孔をそれぞれの膜に穿孔し、ラット皮下の異所性骨形成を検討した結果、500ミクロンまでは、直径の増大と共に骨形成能は上昇することが分かった。少なくとも以上2つの新規デバイスを組み合わることにより、今後、人工歯根にセメント質と歯根膜を創製する見込みは大きく進展した。
|