研究課題/領域番号 |
11470387
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
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研究分担者 |
林 治秀 東北大学, 歯学部, 教授 (90107293)
磯谷 美重 東北大学, 歯学部, 助手 (80271914)
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キーワード | 骨形成 / 骨吸収 / 日内リズム / カルシトニン / ビスフォスフォネート / 薬効 / サーカディアンリズム |
研究概要 |
今年度における研究実績の概要は以下の通りである。いずれも動物実験による研究成果である。 1)規則的明暗サイクルのもとで飼育したラットについて、骨代謝に関する血液中パラメーターとして、カルシウム、燐、アルカリフォスファターゼ、酸性フォスファターゼ、オステオカルシン、ピリジノリン等を選び、これらについて、その日内変動を測定した結果、いずれのパラメータについても有意の日内変動が観察され、この動物の休止期の中期から後期にかけて、骨吸収、骨形成ともに、盛んであることが示唆された。 2)血中カルシウム、燐低下作用を指標として、1日6つの時間帯で、サーモンカルシトニンの効果について用量反応関係を得たところ、その効果は、休止期の中期から後期にかけて最大となることが確認された。また、サーモンカルシトニンの破骨細胞への結合もこれらの時間帯に大きいことが示唆された。 3)強力な骨吸収抑制作用を有するリセドロネートと、大量に与えると骨形成を抑制することで知られるエチドロネートの、2種のビスフォスフォネートを用い、これらを毎日、明期の中期(動物の休止期)、あるいは暗期の中期(活動期)に5-10日間注射し、得られた脛骨骨塩量を指標として、それらの薬効(リセドロネートについては骨塩量の増加、エチドロネートについては、骨塩量減少)に投与時刻による差があるか否かについて検討した。その結果、いずれの薬物についても、明期の中期の効果が大きいことが明らかとなった。 以上の結果、骨代謝の生理的基盤に日内変動があること、骨吸収系や骨形成系を標的とする薬物の効果にも日内変動があること、従って、投与時刻を選択することにより少量の薬物量で、効果的に骨密度を増加させたり、石灰化現象を抑制できる可能性が示された。今後は、これらの基礎データをもとに、薬効の日内変動のメカニズムを更に明らかにしていく必要がある。
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