研究課題/領域番号 |
11470388
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
織田 公光 新潟大学, 歯学部, 教授 (10122681)
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研究分担者 |
伊藤 将広 新潟大学, 歯学部, 助手 (40313522)
水野 敞 新潟大学, 歯学部, 助手 (10018426)
天谷 吉宏 新潟大学, 歯学部, 助教授 (50193032)
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キーワード | 低ホスファターゼ症 / 石灰化 / 組織非特異型アルカリホスファターゼ / 小胞体品質管理機構 / 細胞内輸送 / プロテアゾーム |
研究概要 |
組織非特異型酵素(Tissue-nonspecific alkaline phosphatase,TNSALP)の生合成に関して以下の知見を得た。 1.重症低ホスファターゼ症の患者で報告されたTNSALP(R54C)とTNSALP(D277A)の2例のミスセンス突然変異酵素の分子的な欠陥を明らかにする目的で、部位特異的突然変異法を用いてそれぞれの変異酵素に対応したcDNAを調製し、トランスフェクトしたCOS-1細胞に発現した酵素に関して細胞生物学的に検討した。その結果、変異酵素は本来の活性を有する2量体構造を取れず、TNSALP(R54C)では完全に、TNSALP(D277A)の場合には一部の分子が高分子量の凝集物を形成することが判明した。また、この高分子量の凝集物は小胞体からの細胞内輸送が著明に阻害されるために細胞表面に到達出来ず、小胞体内で分解された(研究発表1)。 2.同じく重症低ホスファターゼ症の患者で報告されたTNSALP(N153D)の分子細胞生物的な検討から、本変異酵素はTNSALP(R54C)と非常に良く似た表現型を示すにも係わらず小胞体からゴルジ体まで運ばれ、その後分解されることを示す結果を得た。一方、人工的な変異酵素であるTNSALP(N153Q)との比較から、TNSALP(N153Q)は野生型酵素とほとんど同じ性質を持つことが分ってきている。この事は153番目のアミノ酸の側鎖のアミド基がTNSALPの立体構造の形成、生合成に重要な働きをしていることを示している。
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