研究課題/領域番号 |
11470390
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩田 幸一 大阪大学, 歯学研究科, 助教授 (60160115)
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研究分担者 |
金銅 英二 松本歯科大学, 助教授 (50273636)
増田 裕次 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (20190366)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ACCX / SI / 疼痛弁別 / 情動 / 注意 |
研究概要 |
三叉神経系の侵害情報は延髄の後角に存在する侵害受容ニューロンを経由し中脳、間脳を上行し大脳に至る。投射経路は外側および内側の2つの経路に分類される。外側系は主に痛みのべんべつ関与するのに対し、内側系は痛覚の情動的局面を担う経路とされている。外側系は大脳皮質第一次体性感覚野(SI)、大脳皮質第2次体性感覚野(SII)、内側系は前帯状回(ACCx)および島皮質(Insula cortex)であると報告されている。本研究は外側系としてSI、内側系としてACCxに注目し、それぞれの皮質領域に分布する侵害受容ニューロンの電気生理学的柱質をサルの熱刺激弁別行動との関連性から解明しようとしたものである。 SIニューロンの多くは刺激強度増加と共にスパイク頻度を増加した。また、熱刺激弁別時間が長いほどスパイク頻度が低く、弁別時間が短いほどスパイク頻度が高い傾向を認めた。しかしながら、このスパイク頻度の変化と弁別時間の関係はT1刺激温度が47℃と、非常に高くなると消失した。また、SIに分布する幾つかのニューロンは温度刺激だけでなく、光刺激に対してもスパイク頻度を増加した。さらに、我々はサルが温度から光に注意を移動させた時の反応の変化を検索した。多くのSI侵害受容ニューロンはサルが注意を温度から光に移動するとその活動性を低下させた。一方、ACCxニューロンの多くは受容野が不明確で、熱刺激増加に伴う反応の増強は顕著ではなかった。また、熱刺激強度弁別時間とスパイク頻度とは明らかな関係を示さなかった。しかし、注意を光刺激に移動すると、ほとんどのニューロンで反応性の低下を引き起こした。さらに、ACCxニューロンの多くはサルが熱刺激から逃避する時に非常に高いスパイク応答を示した。 以上の結果から、SIに分布する侵害受容ニューロンは顔面皮膚の痛覚受容に対して、Sensory discriminative aspectを担っている可能性が示された。一方、ACCxニューロンはMotivational affective aspectに関与する可能性が示された。また、両領域の侵害受容ニューロンは注意を光に移動することにより、活動性を減少したことから、痛覚受容におけるCognitive aspectにも関与する可能性があると考えられる。
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