研究概要 |
受容体作動性Ca^<2+>チャンネル(Receptor-operated Ca^<2+>channel:ROC)は細胞内Ca^<2+>プールの枯渇がCa^<2+>流入を活性化するという容量性Ca^<2+>流入機構(Store-operated Ca^<2+>channel:SOC)を担う電位非依存性のCa^<2+>チャンネルで,特に免疫・炎症関連細胞,唾液腺細胞など非興奮性細胞に発達している.しかしROC機構の分子レベルでの実態は知られていない.最近,Drosophilaのtrp遺伝子のクローニングによりtrp関連遺伝子産物がROCタンパクか,或いはその制御に関わっているのではないかとの示唆がなされた.本研究はDrosophila trp関連遺伝子のクローニングとそのROCとしての可能性について明らかにするために検討を行い,以下の結果を得た. 1PC12細胞から得られたtrp関連遺伝子の塩基配列を基に,ラット脳よりRT-PCR法により5種類の関連増幅物(rtrp)を得た. 2rtrp subtypeは肝臓を除く様々な組織に発現していた.特に脳において発現レベルが高く,各部位で異なった発現分布を示した. 3ラット脳cDNA libraryから2種類の完全長cDNA,rtrp1,rtrp6を分離同定した. 4これらをCOS細胞に導入し,一過性に過剰発現させると,細胞外からのCa^<2+>流入が有意に増加した. 以上の成績からTRP蛋白がSOCを介したCa^<2+>流入機構において重要な役割を担う細胞膜機能蛋白である可能性が示唆された.
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