研究概要 |
受容体作動性Ca^<2+>チャネル(receptor-operated Ca^<2+>channel:ROC)は細胞内Ca^<2+>ストアのCa^<2+>枯渇がCa^<2+>流入を活性化するという容量性Ca^<2+>流入機構(store-operated Ca^<2+>channel:SOC)を担うチャネルであるが,実体は同定されていない.またその特異的阻害薬も知られていない.本研究は,ROCに連関する情報伝達系およびその阻害薬について検索した. 1 TRPの機能解析:COS細胞にrtrp3,6を発現させた細胞においては,Ca^<2+>entryが観察された.これらの結果は,rtrp3,6は細胞内Ca^<2+>ストアの枯渇により仲介されるCa^<2+>entryに直接関与している可能性を示唆している.trp1,3antisense mRNA安定発現PC12細胞を作成した結果,予想に反して,acetylcholine(ACh),thapsigargin(TG)によるCa^<2+> entryはいずれも増大した.この機序は不明であるが,trpはCa^<2+>entry機構に何らかの関与を有することが示唆される. 2 12-hydroxyeicosatetraenoic acid(12-HETE)の好中球における細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)上昇シグナル伝達機構:12-HETEによる[Ca^<2+>]i上昇はPAFにより仲介されること,FMLPの[Ca^<2+>]i上昇の一部はPAFにより仲介されること,およびLTB_4による上昇は仲介されないことを示唆した. 3 Pituitary adenylate cyclase activating polypeptide(PACAP)のウシ副腎髄質クロマフィン細胞における[Ca^<2+>]i上昇機序とその阻害薬:PACAPは,cAMP,phospholipase C,cyclic ADP-ribose,電位依存性Na^+channel,電位依存性Ca^<2+> channel非依存性に,SOCとは異なった機序で細胞外Ca^<2+>流入を促進することが示唆された. 4 ROC阻害薬の探索:Caffeineはウシ副腎髄質クロマフィン細胞におけるAChによる[Ca^<2+>]i上昇,TGおよびTPEN誘発Ca^<2+>流入を抑制した.以上,メチルキサンチンに新しい作用が認められた.なお,本テーマは今後更なる発展性を有しているので継続して研究を椎進していく所存である.
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