コンジェニックラットの作成とそれによる舌癌感受性及び抵抗性遺伝子の解析

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470399
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 北野 元生 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (10142118)
• 研究分担者: 富田 浩一 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (20315427) ; 田沼 順一 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (20305139) ; 仙波 伊知郎 鹿児島大学, 歯学部, 講師 (60145505)
• キーワード: Dark-Agouti系ラット / Wistar / Furth系ラット / 舌癌 / 化学発癌 / 舌癌感受性遺伝子 / 舌癌抵抗性遺伝子 / コンジェニックラット / ホモヘテロ

研究概要

我々は我々の開発した4-nitroquinoline 1-oxide(4NQO)誘発ラット舌癌モデルを用いてマッピングを試みたところ、既に舌癌発癌を促進または抑制するStc1やRtc1などの複数の遺伝子を見出すことができた。そこで我々はspeed congenic法により上記の遺伝子を基準ラットゲノムに導入し、それぞれの遺伝子の生物学的作用の解明とポジショナルクローニングを行うことを企図して本研究を開始した。具体的には、舌癌好発系のDark-Agoutiラットに由来する舌癌感受性遺伝子と考えられるStc1と、舌癌嫌発系のWistar/Furthラットに由来する舌癌抵抗性遺伝子と考えられるRtc1を別々にWistar/Furth(WF)ラット及びDark-Agouti(DA)ラットに交配を繰り返す手法を用い、両系ラット間でポリモルフィックなマイクロサテライトを含むマーカー遺伝子の検索(GD-RDA:genotypically direct-representational analysis)を行いながら導入実験を行った。理論的には、N5ラット作成でコンジェニックの前段階は完了する。既に、我々は現時点で、WF及びDAともにN5ラットまでの作成は完了している。次の段階はN5ラット同志の交配によって、Stc1またはRtc1をホモで有すコンジェニックラットの作成を確認した後、その繁殖を待って発癌実験などにとり掛かる。これによって、精緻な新たなマッピングが期待されよう。ヒトまたはマウスとのシンテニーから、導入遺伝子についての候補遺伝子が絞り込める可能性が大きい。

研究成果

• [文献書誌] Kitano M,Tanuma J,Hirayama Y,Hirano M,Semba I..: "Green tea and rat tongue carcinogenesis: establishment of a rat model of carcinogenesis"Reports of Kagoshima University Project: Interactive Studies on Food,Health and Environmental Sciences in Kagoshima. No.2. 137-141 (1999)
• [文献書誌] Tanuma J,Kitano M,Shisa H,Hiai H.: "Polygenetic susceptibility to 4-nitroquinoline 1-oxide-induced tongue carcinogenesis in the rat"J Exp Animal Sci. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Kitano M,Tanuma J,Hirayama Y,LiT-J,Hirano M,Tomita I,Semba I..: "Green tea and rat tongue carcinogenesis(2): mutation of p53 gene during 4NQO-induced carcinogenesis in the Dark-Agouti rat"Reports of Kagoshima University Project: Interactive Studies on Food,Health and Environmental Sciences in Kagoshima. No.3(印刷中). (2000)
• [文献書誌] Kitano M.: "Host genes controlling the susceptibility and resistance to squamous cell carcinoma in a rat model"Pathol Intern. 49(印刷中). (2000)