研究概要 |
すでにわれわれは、ヒト顎関節症の滑液中にMMP1,2,3,9を検出し、MMP9,2の活性と関節軟骨破壊の程度が相関することを見い出した(Kubota E,et al.,J Oral Maxillofac Surg,56,192-198,1998,Kubota T,et al.,Eur J Oral Sci,56,992-998,1998)。また、これら疾患関節では高濃度の炎症性サイトカイン(IL-1,6)が検出されることを見い出した。本年度は、炎症性サイトカインとMMP活性の関連をさらに追究するため、IL-1を顎関節内に注入した顎関節炎モデルラットを作製し、IL-1が滑膜細胞あるいは軟骨細胞から産生されるMMPの活性化を直接調節しているのか、また、この際発生する活性酸素フリーラジカル(ROS)種が、関節炎の病態にいかに関与しているのかを関節組織から取り出した細胞をもとにin vitroで解析した。その結果、IL-1がMMP3,9の活性化に関与すること(Ijima Y,et al., Eur J Oral Sci,2000 in press)、組織障害活性の強いヒドロキシルラジカル(HO^・)がIL-1投与により誘導され、この発生系にO_2^<・->不均化反応で生成されるH_2O_2が、滑液中に存在する鉄イオンを触媒下にHO^・を生成するFenton型Haber-Weiss反応が関与していることを立証した。以上の結果から、実際の顎関節症においても、MMP活性がIL-1や活性酸素フリーラジカルにより調節される可能性が示された。
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