研究概要 |
正常あるいは炎症歯髄におけるco-stimulatory molecules,サイトカインの免疫組織化学的あるいは分子生物学的検出を行い,各種免疫担当細胞の局在・動態との関連を検討することを目的とし、下記の知見を得た。 1.免疫組織化学的検討 ラットの下顎第一臼歯歯髄を検索の対象とし、酵素抗体染色により光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡下で下記の発現状況の検索を行った。歯髄炎の誘発は露髄後開放のまま放置することにて行った。 ・共刺激分子:CD80,CD86 ・サイトカイン:TNF-α ・樹状細胞マーカー:MHC class II分子,OX62抗原,CD11c ・マクロファージマーカー:ED1抗原,ED2抗原,CD14 ・誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS) その結果、 (1)共刺激分子の発現は陽性対照組織である脾臓で検出されたものの、正常歯髄での発現は確認されなかった。 (2)正常歯髄・炎症歯髄ともTNF-αに対する免疫反応性を示すマクロファージ様の細胞の存在が確認された。 (3)MHC class II分子あるいはCD11cを発現する樹状細胞様細胞の存在を免疫電顕観察にて確認した。これらはいづれもED1陽性を示したが、樹枝状の外形ならびに貪食空胞の発達に乏しいとの点において、マクロファージと異なる超微形態を示した。 (4)炎症歯髄でiNOSに対する免疫反応性を示すマクロファージ様の細胞の存在が確認された。 2.分子生物学的検討 LPS貼付にてラット上顎切歯に歯髄炎を誘発し、RT-PCR法にて歯髄におけるiNOSのmRNA発現状況を検索したところ、起炎後6時間をピークとするiNOSのmRNA発現が確認された。また酵素抗体二重染色により、iNOS陽性細胞はマクロファージと同定された。
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