臼歯部審美歯冠補綴物の破折防止に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470418
• 研究機関: 長崎大学
• 研究代表者: 熱田 充 長崎大学, 歯学部, 教授 (60002135)
• 研究分担者: 鎌田 幸治 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60264256) ; 吉田 圭一 長崎大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70230729) ; 松村 英雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (40199857)
• キーワード: 歯冠修復用セラミックス / 接着性レジン / 疲労試験 / セラミックスの破折防止 / オールセラミックスクラウン

研究概要

1.歯冠色材料単体の疲労試験:20×5×1.5mmの試験片を歯冠補綴用のキャスタブルセラミックスOCCで作製し、油圧サーボ式材料強度試験機を用いて行った。試験の結果は、表面仕上げが荒い#220で仕上げた場合には曲げ強さは平均40.9MPa、疲労強さは28.8MPaで、破断までの印加回数は平均4.31×104回であった。一方、#1000ではそれぞれ平均で45.4MPa、35.0MPa、3.29×104回であった。OCCがコンポジット等と比べて脆くないこと、研磨の重要性が示された。
2.歯冠色材料と歯科用合金および支台築造用レジンとの複合体の疲労試験:2mm厚さに仕上げた金銀パラジュウム合金と支台築造用レジンに先述のOCC試験片を接着性レジンで接着し、複合体試験片を作製し疲労試験に供した。試験の結果は、金銀パラジュウム合金を張り合せたOCC複合体の曲げ強さは平均で49.6MPaと54.7MPa、疲労強さが39.3MPaと44.3MPaであり、表面仕上げの影響は大きくなかった。一方、支台築造用レジンとの複合体では曲げ強さが76.3MPaと74.8MPa、疲労強さが65.5MPaと62.2MPaであり、OCC単体と比べてかなりの改善が認められた。表面仕上げの影響は明瞭では無かった。
3.各種支台歯に接着したOCCクラウンの耐久性試験:天然歯を咬合面はフラットで厚さ2mm、ショルダ一部はディープチャンファーで1mmになるように支台歯形成した。接着性レジンでセット後、咬合面に5Kgfの負荷を10万回加えてからを破断させたが、天然歯では107Kgf、金属支台歯では192Kgf、支台築造用レジンでは160Kgfであり、天然歯支台は他の2者に比べて有意に値が低かった。

研究成果

• [文献書誌] Katou,H.,Matsumura,H.,Atsuta,M.: "Effect of etching and sandblasting in bond strength to sintered porcelain of unfilled resin."J Oral Rehabil. 27. 103-110 (2000)
• [文献書誌] Yosida,K.,Kamada,K.,Atsuta,M.: "Adhesive primers for bonding cobalt-chromium alloy to resin."J Oral Rehabil. 26. 475-478 (1999)
• [文献書誌] Yosida,K.,Atsuta,M.: "Effect of MMA-PMMAresin polymerization initiators on the bond strength of adhesive primers for noble metal."Dent Mater. 15. 332-336 (1999)
• [文献書誌] Matsumura,H.,Kamada,K.,Tanoue,N.,Atsuta,M.: "Effect of thione primers on bonding of noble metal alloys with an adhesive resin."J Dent. 28. 287-293 (2000)
• [文献書誌] Matsumura,H.,Tanoue,N.,Atsuta,M.: "Adhesive bonding of stainless steels and their component metals."J Oral Rehabil. 27. 1054-1059 (2000)
• [文献書誌] Taira,Y.,Yanagida,H.,Matsumura,H.: "Adhesive bonding of titanium with a thion-phoshate dual functional primer and selfcuring luting agents"Eur J Oral Sci. 108. 456-466 (2000)