研究課題/領域番号 |
11470419
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤井 弘之 長崎大学, 歯学部, 教授 (20067060)
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研究分担者 |
寺野 元博 長崎大学, 歯学部, 助手 (90264259)
小池 麻里 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00234667)
南 二郎 長崎大学, 歯学部, 助手 (80304955)
中村 茂 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90227900)
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キーワード | 無刺激全唾液 / 金属アレルギー / 有機酸 |
研究概要 |
歯科用金属アレルギーは口腔内の金属修復物から金属元素が溶出することによって誘起される。歯科用金属成分の溶出は修復物と接触する唾液やプラークに含まれる有機酸の性状が影響を与えると考えられるが、全唾液にどの有機酸がどの程度合まれているのかなど、詳細については不明な点が多い。 そこで、健常成人10名の無刺激全唾液のクエン酸、ビルビン酸、リンゴ数、コハク酸、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸量を島津製作所製高速液体クロマトグラフを用いて定量し、以下の結果を得た。 1.全唾液のpHは5.7〜7.2で、分泌速度は0.36〜1.10ml/minであった。 2.クエン酸、ピルビン酸、乳酸、ギ酸、酢酸は全被験者から、コハク酸、プロピオン酸は10名中9名の被験者から検出され、リンゴ酸は検出されなかった。 3.検体から検出できた7種類の有機酸の平均濃度(μeq/ml)はクエン酸(0.09±0.04)、ピルビン酸(0.08±0.05)、コハク酸(0.06±0.03)、乳酸(0.79±0.53)、ギ酸(0.20±0.12)、酢酸(1.98±1.54)、プロピオン酸(0.32±0.28)であった。 4.全唾液には唾液以外の分泌液、歯内溝漬出液、食物残渣、歯垢、細菌、粘度剥離細胞、血球細胞などが混在し、種々の外的因子の影響を受けるなどの欠点がある。しかし、実際に口腔内に存在するのは全唾液であり、全唾液は口腔内を一つの生態学的環境として評価するうえで重要である。歯科用金属アレルギーでは、金属からの原因物質の溶出は全唾液の性状によって影響を受けていると考えられ、今後他の有機酸との開連を含めてさらに検討を進めたい。
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