研究概要 |
現在,歯科臨床において欠損補綴への歯科インプラントの応用が増加している.天然歯と比較して歯科インプラントでは歯根膜組織が欠如するため,咬みしめ時には天然歯とは異なる動きをすると考えられる.しかし,上部構造体に付与する咬合接触については科学的根拠に基づく基準がないのが現状である. 本研究では,上部構造に付与する咬合接触が咬頭嵌合位の安定性に及ぼす影響を検討することを目的とし,本年度は第1段階としてインプラント装着患者の咬合接触の評価法の検討を行った.測定にはadd画像法およびデンタルプレスケール法を用いた.被験者として下顎の片側あるいは両側遊離端欠損に対してIMZインプラントを植立し,固定性補綴処置を行った被験者を選択した.咬合接触の記録は,被験者に最大随意収縮(MVC)を行わせた際の咬筋筋電位のRMS値を100%としたときの5%,10%,20%,30%および100%MVCの5段階の咬みしめ強度で行った. その結果,add画像法ではすべての咬みしめ強度の記録で咬合接触が認められたのに対し,デンタルプレスケール法では,5%MVCの記録においてすべての被験者で咬合接触が認められなかった.また,天然歯列では咬みしめ強度の増加とともに咬合接触面積は増加すると報告されているが,インプラント装着患者においても天然歯側,インプラント装着側ともに接触面積の増加が両方法で確認できた.
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